本好きのつぶやき

読書に勤しむ大学生の日常

読書メモ

分断のはじまり①【橘玲著:上級国民/下級国民】

「上級国民」というワードは2019年春に飯塚幸三という男が起こした事件にて一躍流行した言葉である。ニュアンス的には元官僚で勲章持ちの人間は、権力によって罪さえも揉み消すことができてしまうのだという使われ方だった。まさにその流行語大賞にもノミネ…

mRNAワクチンとは?①【中村祐輔著:ゲノムに聞け】

2019年のコロナショックから現在、外出規制やマスク規制など対策もだいぶ緩和されてきた。思えば長い間コロナウイルスと付き合ってきたなあという感覚である。 そこで割と今更ではあるが、改めて新型コロナウイルスおよびmRNAワクチンについておさらいをして…

言葉に出ないのは考えてないからか?【武田砂鉄著:わかりやすさの罪より】

バチバチの回である。何がバチバチかと言うと、おそらく「言葉」そのものに対する考え方や向き合い方の違いによるものだろう。今回はそんなバチバチな2冊の本を紹介し、感想を述べていきたい。 言葉は思考の上澄みにすぎない 「言葉にできるは武器になる」は…

アベノミクスってなんだったの【原真人著:日本「一発屋」論より】

私自身日本の首相のイメージは誰かと聞かれれば安倍晋三と答えるだろう。それくらい長い期間日本における政治のリーダーとして存在し、世界各国からの信頼も厚かったように思う。 大学で経済学を専攻しながらも安倍政権にて始められた「アベノミクス」につい…

どっちですか?は危うい【武田砂鉄著:わかりやすさの罪より】

本日ご紹介するのは偏っていた思考を真ん中あたりにより戻してくれた一冊である。自分の中で伝える行為が、「端的に!わかりやすく!を意識しよう」というビジネス本のフレーズや就活での受け答えによる影響を受けていたのかなあと思った。 (function(b,c,f,…

絶好調の証明【ベン・コーエン著:科学はツキを証明できるかより】

昔、弟とおやつのプリンを巡ってよくじゃんけんをしていたが、多分私の勝率は三割に満たなかったのではないか。正直負けすぎてじゃんけんになると試合逃亡することも多く、勝負事で自信を持っているか持っていないかということの大切さは身にしみて学んでい…

ツイてるを解明する【ベン・コーエン著:科学は「ツキ」を証明できるかより】

春休みが終わりそうで憂鬱な今日この頃だが、社会人になればこの憂鬱感も感じれなくなると思うとなんだかさみしい。今年の春休みは就活がメインで2番目の優先事項に読書をするとしていた。その甲斐あって10冊くらい読めたのではないかと思う。基本的に学術…

侵食する快適主義【稲田豊史著:映画を早送りで観る人たちより】

本著はたしかYouTubeで一度は目にしたことがあるであろう岡田斗司夫さんが「岡田斗司夫ゼミ」にて紹介しており、切り抜きの動画が回ってきた人も少なからずいるのではないだろうか。YouTubeのアルゴリズムが一体どうなっているのかわからないが、切り抜きの…

倍速視聴を考える【稲田豊史著:映画を早送りで観る人たちより】

現役大学生大半の方々にはご共感いただけると思っているが、正直講義動画を倍速視聴することに一切の躊躇はない。むしろ速く見終えることができれば効率がいいし、もともとのスピードで視聴する必要があるか?といった感じの講義動画も多い。 しかし教授の目…

学校教育について考える【広田照幸著:学校はなぜ退屈でなぜ大切なのかより】

2022年読了本シリーズである。ジャンルが右往左往している点は自分でもなんとかならないかと思っているところだ。 突然だが皆さんはどこで本を購入しているのだろうか。最近はアマゾンで購入する人が増えていて、本屋がなくなってしまうのではと言われている…

山にいると時間の経過が速くなる?【カルロ・ロヴェッリ著:時間は存在しないより】

2022年に読んだ本に関してもぼちぼち紹介していきたいと思う。(就活が思ったよりもひまなので)本著はジャンルはがらっと変わるが物理学の観点から見た「時間」という概念の話である。 カルロ・ロヴェッリ著:時間は存在しない 所変われば時間も変わる 本書…

自己投資って何ぞや【レジー著:ファスト教養より】

本著を読んでいて率直に感じるのは、そもそもの趣旨としてファスト教養を否定していない点である。テーマのひとつとして「ファスト教養との向き合い方、今後の教養の在り方」があると思うが、一緒くたに排斥しない、いやできない点で文化は社会情勢に左右さ…

安くて速くて美味しい情報の問題点【レジー著:ファスト教養より】

書店で本書を見かけたとき、一瞬ヒヤッとしたことを覚えている。それは多分、「ファスト教養」というワードに少なからず共感を覚え、後ろ指を指されるような感覚があったからかもしれない。 レジー著:ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち そもそもファス…

多様性が役に立つ理由【マシュー・サイド著:多様性の科学より】

こんにちは。本格的に花粉症が猛威を振るい始めて、外出がおっくうになっています。またティッシュの買い溜めもしなければなりませんね。苦しい、、 本日は「失敗の科学」に続き、少し前に話題になっていたマシュー・サイド氏「多様性の科学」についてまとめ…

人はウソを隠すのではなく信じ込む【マシュー・サイド著:失敗の科学より】

こんにちは。本日の記事は「失敗の科学」続編です。 マシュー・サイド著:失敗の科学 人はウソを隠すのではなく信じ込む 本書の第二章以降は、人が失敗から学ぶことの難しさについて述べられていました。その難しさとは人間の本能的な思い込みや自分を守ろう…

失敗のマネジメント【マシュー・サイド著:失敗の科学より】

こんにちは。全国的に気温が暖かくなり春っぽくなってきましたね。自分が思うに春は気候的に一番好きな季節なのですが、花粉のせいで総合最下位な季節です。スギの木絶滅させたいとか言うと危険思考なのでやめておきます。 本日の記事はマシュー・サイド氏の…

AIは意識を持ち得るのか【ジェフ・ホーキンス著:脳は世界をどう見ているのかより】

こんにちは。本格的に花粉症シーズンですね。私はまだ症状が出ていないのですが、花粉が飛んでいる事実に気づいた瞬間終わりみたいなところがあります笑 本日は私が脳科学の本を読んでいて、一番興味深いと思っていた分野について取り上げたいと思います。そ…

人間の強みは記憶のあいまいさ【池谷裕二著:進化しすぎた脳より】

こんにちは。世間ではChatGPTの発表で人工知能のブレイクスルーが今後加速していくのではないかと話題になっています。実際に私も使用してみたのですが、従来のAIとは段違いで言語性能が良いと感じました。ここまで来るとAIは言語の意味を理解してしまってい…

分業制を採用する脳【池谷裕二著:進化しすぎた脳より】

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">こんにちは。ブログテーマ第二弾は脳科学について学んだことと考えを述べていきたいと思います。 だいぶ前回の全体主義からはかけ離れた内容にはなってしまうと思いますが、ブログを見てくださった…

全体主義について考える3(まとめ)【ハンナアレント著:悪と全体主義より】

本日は全体主義について論じる最終回ということで、ハンナアレント氏の著書「悪と全体主義」の総論と全体的な感想を述べていきたいと思います。この著書は私自身ドイツについて学ぶ中で大学1年次に読んだ作品だったため、再度読み直して学びの多い作品だと…