本好きのつぶやき

読書に勤しむ大学生の日常

自己投資って何ぞや【レジー著:ファスト教養より】

本著を読んでいて率直に感じるのは、そもそもの趣旨としてファスト教養を否定していない点である。テーマのひとつとして「ファスト教養との向き合い方、今後の教養の在り方」があると思うが、一緒くたに排斥しない、いやできない点で文化は社会情勢に左右されるのだと実感している。

 

ジー著:ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち

 

自己投資のお話

唐突に私が最近はまっているお気に入りのYouTuberがいるのだが、ぜひ今回紹介させていただきたい。

 

youtu.be

 

ビジネス系YouTuberの宋さんという方なのだが、内容を差し置いてとりあえず顔が面白くて好きである。ちなみにこんな感じの動画を本書ではファスト教養というのだろうが、そこはオフレコでお願いしたい。


この回はいわゆるビジネス用語に対して、宋さんが苦言を呈するという内容なのだが、「自己投資」というワードに触れている。
端的に言えば、自己投資というワードはのはあやふやな立ち位置すぎるとのことだ。

本業のための努力と趣味という二項対立で考えた場合、自己投資とは一体どこに位置するのか。
知見を広めるとか、知らない業界の勉強をする、あるいは役に立つかも知れない資格勉強をするなどといった「自己投資」は、結局本業のための努力ではないので趣味と言え!とのことだ。

このもの申す系が着飾っていなくて好きなのかもしれないが、なんとなく言っていることはわかる。しかもいつから私たちは自己投資という言葉を使うようになったのだろうか。昔はあんまり聞かなかった気がする。

 

知らない分野について勉強するのであれば、それはもう趣味でいいのでは?と思う。自己投資とした瞬間に何やら義務的な感情が渦巻き始めて、好きとか興味関心といったものが薄れていく感じがする。
ただその一方で、自己投資と言うことで「なんか将来のために頑張っている感」は出てきて、達成感に浸ることもできる。

宋さんは結局、役に立つかわからないことをするぐらいなら本業に集中した方がいいと締めくくるが、ビジネスで成果を出すことに集中するならそうすべきなのだろう。ただこれを「教養」という分野と絡ませると考えようがあるテーマだなと思う。


スマートフォン, 手, 株式, ファイナンス, 株取引, コンピューター

 

(ちなみにフリー画像サイトにて「自己投資」と検索したら、株式投資やトレーダーの画像がたくさん出てきた)

 

ファスト教養には即効性が必要

私自身就職活動をしているが、説明会でよく耳にするのはVUCAの時代という言葉である。

www.i-learning.jp

 

VUCAとは、Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。

 

変化が激しく、予測が不可能な時代だからこそ「教養」を身につけるべきという風潮があるのは確かである。
変化への対応という意味で教養は相性がいいのも事実。

また、SNSIT技術の発展に伴い他人との比較が容易になった現代における、ビジネスパーソンの焦燥感の表れともとれる。
本書では「教養がなければ中間層から脱落するぞ」という、ある種空気のような脅しのようなメッセージが背景にあるのではないかとしている。

そのような強迫観念の結果、効率やコスパを追い求めたファスト教養にたどり着いてしまうのではないかということだ。
時代の流れには逆らえず、そのような努力は評価されるべきであると思う。しかしその中でも、教養はもっと知的好奇心や自己成長への楽しみなどポジティブに捉えられるべきだ。

 

ちなみにこういった身近な話題は思うところがあって大変面白い。
明日もファスト教養をテーマに投稿したいと思う。

 

 

 

 

odasakukun.hatenablog.com