mRNAワクチンとは?①【中村祐輔著:ゲノムに聞け】
2019年のコロナショックから現在、外出規制やマスク規制など対策もだいぶ緩和されてきた。思えば長い間コロナウイルスと付き合ってきたなあという感覚である。
そこで割と今更ではあるが、改めて新型コロナウイルスおよびmRNAワクチンについておさらいをしてみたいと思う。パンデミックは次またいつ発生するかわからないし、その際玉石混合の情報渦から、いかに正しいものを選び取るかが重要だ。そのためにも我々が体験したパンデミックの元凶とその対抗策としてのワクチンを学び直そう。
ウイルスとDNA・RNA
そもそもウイルスとは無生物である。生物の定義は自ら細胞を持ち、代謝を行い、自己複製することでありウイルスはこれらに当てはまらないのだ。生物(宿主)の身体に侵入し、その中の細胞に入り込むことで初めて、ウイルスは自己複製をすることができる。
またウイルスにはDNA型ウイルスとRNA型ウイルスの2種類があるということだ。中学校の理科で習った内容のおさらいだが、DNAとRNAは塩基配列の違いで、DNAは大本の設計図。それを部分的にコピーしたのがRNAであり、これらは私たちの身体の中でも日々たんぱく質合成をするにあたって重要な役割を果たしている。
ちなみにこのたんぱく質合成がどれくらい重要かと言うと、私たちの細胞を構成する材料や酵素や抗体など免疫機構の成分ともなるたんぱく質を合成している。つまりたんぱく質を日々摂取することはもちろん、それを合成するはたらきは生命活動に直結していると言える。
mRNAって何
mRNAとはメッセンジャーRNAの略である。メッセンジャーという名前の通り、mRNAはDNAからたんぱく質の設計図を転写し、翻訳する役割を持つ。
基本的にDNA→RNAの場合ミスコピーはほとんどない。しかし、RNA→RNAの場合ミスが起こりやすい。このミスによって発生するのががん細胞だったりするのだが、ここでは割愛。
つまり、RNA型ウイルス(新型コロナウイルス)が変異を起こすのはこのミスコピーが関わっている。
新型コロナウイルスのすべて
Q.コロナウイルスの名称はどこから?
A.コロナウイルスは表面に多くの突起(スパイクたんぱく質)があり、太陽に見えることからコロナと名付けられた。
このスパイクたんぱく質というワードは、ニュースでよく見かけていた人も多いのではないだろうか。
ちなみに新型コロナウイルスはインフルエンザの20倍の致死率があると言われており、特に高齢者の場合致死率はさらに上がるとされている。
このように重症化するケースが多かったのは、ウイルスによる炎症反応が原因だ。この反応により血小板が凝固し血栓ができる。それによって脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすケースに発展するのだ。また、肺機能が低下する事例も多くあったが、それも同じく肺における炎症反応の結果である。
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大半の症状は激しい炎症反応=過剰な免疫反応とも言えそうだが、免疫機構が衰えた高齢者の重症化リスクが高いため他の要因も大きいかもしれない。
今日はこの辺で。