本好きのつぶやき

読書に勤しむ大学生の日常

不幸なのは本当に自分のせい?

少し気分を害される方もいるかもしれないが、先日Twitterで学生が自殺をする動画が出回っており、私はその動画を目にしてしまった。その動画はもともとストリーミングサイトにて配信されていたものだったという。あの手の動画や画像は受取手によって精神的な苦痛やトラウマを植え付ける危険性があるため、ネットに触れる間は新手のテロがあるかもしれないぐらいの気持ちでいる必要がある。またセンシティブなツイートやサイトのブロック機能をオンにしておくことをおすすめする。

 

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話はそれたが今回の記事で言及したいのは自殺の是非ではなく、Twitterに溢れかえっていた「自己責任」という言葉である。
正直私はついこの間の高校生ぐらいまで、自殺や過労死をする選択に迫られてしまう人々の心情がよく理解できていなかった。まず他人の視点に立って考える想像力が大いに欠如していたと思う。少しばかり社会に頭を突っ込んでみて、いろいろな人の人生を覗けたことで、自分以外の境遇について考え想像できるようにはなった。いわゆる若気の至りで擁護できるのはここまである。

自殺した人に対して自己責任だろと言うのは些か配慮に欠けていることに加え、自分の人生に傲り高ぶりがあるのではないかと思う。
特に最近は能力主義と言われる社会が到来し、人々の思想もそっち寄りになってきている気がするのだ。私がここまで健康に生きてこられたのは本当に私だけによるものか?もちろん頑張ったこともきつかったこともある。しかしそんなものは一握りにすぎない。周りの人間や環境によって今日この日まで生きてこられたのであり、能力主義に偏りすぎるあまり、そこを決して忘れてはいけない。

 

不運な人に自己責任と言い放つ人は、例えば古来の奴隷が是とされていた時代に生まれていたら同じことが言えただろうか。先ほど想像力と言ったが、その人がどんな思いを持って生き、どんなに壮絶な環境に身を置いていたか考えることは可能だが限度がある。最も必要なのは自分の人生は自分以外の要素によって支えられていると自覚することだ。
このまま能力主義のような社会が成熟していけば、自ら命を絶つ人はどんどん増えるだろう。なぜなら上手くいかないのも不幸なのも自分のせいだからだ。
そうではなく、決して自分のせいなんかではない。むしろ上手くいっている自分は幸運で、その分運悪く厳しい環境にいる人に対し手を差し伸べる心が必要だ。

最近は能力主義に対して懐疑的に思う事柄が身近に多かったため、マイケルサンデルの著書を読んでいる。彼の考え方は面白いし、現代社会の若者はぜひ読むべきだ。大衆の気運の波にのまれ、思考が凝り固まってしまう前にぜひ手に取って欲しい。