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人間の強みは記憶のあいまいさ【池谷裕二著:進化しすぎた脳より】

 

こんにちは。
世間ではChatGPTの発表で人工知能のブレイクスルーが今後加速していくのではないかと話題になっています。
実際に私も使用してみたのですが、従来のAIとは段違いで言語性能が良いと感じました。ここまで来るとAIは言語の意味を理解してしまっているのではないかとも思うのですが、実際はどうなのでしょうか。

 

今回の脳科学についてのまとめはそのAIとも絡んでくる内容ですので、ぜひ興味があれば脳科学人工知能について深掘りしてみることをおすすめします。

 

池谷裕二著:進化しすぎた脳

 

 

 

あいまいであることの重要性

物事を記憶するとき、人はそれをどこまで詳細に覚えているのでしょうか?
例えば知り合いのAさんがいたとして、その人の顔や身振り手振りは思い出せるかもしれませんが、いつも着ている服のデザインや細かい言葉遣いまでは出てきませんね。もし仮にすべての情報を頭に詰め込めたとして、その日に起きたことをすべて詳細に記憶していては頭の容量が持ちません。いずれパンクしちゃいますね。

 

 

 

しかしこの記憶のあいまいさこそ人間の武器であるというのです。
ではなぜ人間の記憶はあいまいで、どうやってあいまいになっているのか。

 

汎化する脳

最初に結論を申し上げると、記憶は正確性をあえて排除しています。それは先ほどの容量の問題もありますが、絶えず変化する環境へ対応するためであるとも言えます。
例えば鳥はものすごく記憶力が高く、一度見たものをなかなか忘れないようです。これは一見メリットのようですが、なかなか忘れられない正確な記憶は、その分柔軟性や応用性を欠きます。よって私たちが多面的に物事を考えることができるのは、脳がものごとをなかなか覚えられずあいまいであることが起因しているのです。

 

またそのあいまいさをどのように作り出しているのかというと、人間の脳は普遍の共通項を物事から抽出することでその抽象化を達成しています。

 

道, 家, 市, 村, 旧市街, 建物, 建築, サイドウォーク, 都市


例えば時間によって景色が変わる通路があったとして、脳はその中から変わらない部分(ここであれば道のりやそこにあるもの)を抽出します。
これらが断片的な記憶となって残るのです。

もし写真のように記憶を覚えてしまえば、通学路をまともに覚えることもできず、ちょっと髪型が変われば人の顔だって覚えることはできません。
よって人間の脳における記憶は他の生物と比べて、あいまいでいい加減であるが、それこそが臨機応変さや適応能力を助長していると言えます。

 

創造性の源泉

人間の創造性もまた、この記憶のあいまいさに起因しているのではないかと言われています。
人間の脳では記憶がフォルダようなものに保存されているのではなく、統合された無数の神経細胞のつながりの間に保存されています。ここから記憶を引き出そうとすると、その周辺の情報と混ざったり、内容の一部が書き換わったりします。その過程で今まで思いもしなかったようなことがつながったりしていわゆる「ひらめき」や「創造」といったものが生まれるのです。

これはフォルダの中で個々に情報を格納している機械では、なし得ないことだとわかりますよね。現代のAIが人と同じような創造性を持つことができないのは、その構造上の問題だったということです。

 

AIといえば、将来人工知能が意識を持って反乱を起こすのではないかと言われてますよね。著書ではそこへの言及もされていたので、次回の記事は機械の「意識」について取り上げたいと思います!

 

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odasakukun.hatenablog.com