本好きのつぶやき

読書に勤しむ大学生の日常

失敗のマネジメント【マシュー・サイド著:失敗の科学より】

こんにちは。
全国的に気温が暖かくなり春っぽくなってきましたね。
自分が思うに春は気候的に一番好きな季節なのですが、花粉のせいで総合最下位な季節です。スギの木絶滅させたいとか言うと危険思考なのでやめておきます。

 

本日の記事はマシュー・サイド氏の「失敗の科学」という著書のアウトプットです。彼の著書には他にも「才能の科学」や「多様性の科学」といった、事例をもとに本質を突いたテーマが大変興味深いものが多いので、ぜひおすすめです。

 

マシュー・サイド著:失敗の科学

 

失敗のマネジメント

本書では医療業界と航空業界の事例をもとに、失敗が起きた際のマネジメントについて説かれています。両業界ともに失敗に対する対策はきっちりしているというイメージのもと読み進めましたが、やはりどの業界でもヒューマンエラーは起こりえるため、特に失敗後の改善や仕組み作りが必要不可欠ですね。

 

医療業界で言及されていたのは業界としての「調査嫌い気質」です。
本書では医療過失が顕著なアメリカにおける事例を取り上げていて、2013年における米国の死因第三位は医療過失だそうです。

コロナウイルス感染拡大があった中で医療従事者の人手不足や単純に処置や手順が複雑であるなど、要因は様々考えられますがその中でも医療業界の気質が問題であると筆者は述べます。

特に権威や威信などを重視する文化が根強く、もし医療ミスを起こせば自分の名前に傷がついてしまうという恐れが当事者にあるのではないかということです。
これは医療業界として他の失敗事例が学ぶシステムが整っておらず、また失敗することが過度にタブーであるという認識があるのではないでしょうか。

(現在は特に日本では第三者機関を織り交ぜた失敗のマネジメントを実施しているそう)

 

www.mag2.com

 

完璧な集中が事故を招く

航空業界では、ユナイテッド航空173便の事故が挙げられています。この事故では航空機の機体トラブルを疑った機長が原因解明のため、しばらく着陸せず旋回することにしました。しかし機長は燃料切れに最後まで気づくことなく、横にいた副操縦士も指摘をしないまま墜落し多数の死者を出すことになりました。

 

ja.dbpedia.org

 

この事例で重要なのが、機長の完璧すぎる集中そして機長と副操縦士の上下関係によるフィードバックがなされなかったことです。

ヒエラルキーがあるからといって重大なミスの報告をしなかったり、優先順位を間違えてしまえば悲惨な結果につながってしまうということですね。この事故を機に航空業界では過集中など人間の心理を考慮したシステム作りに着手しました。

 

医療業界と航空業界で異なるのはミスに対する姿勢にあります。皆さんものご存じのブラックボックスは、なんらかのトラブルで航空機が墜落したとしても、それを回収することで事故当時の現場の詳細を知ることができ、失敗の改善に活かすことのできるシステムです。

ヒューマンエラーの多くは設計が不十分なシステムによって引き起こされると言っても過言ではないとユナイテッド航空173便の事例からは感じられますね。

 

航空業界ではブラックボックスや業界の失敗から学ぶという文化が根付いているため、事故は年々減少しています。

医療業界や航空業界を通して見ても、失敗から学ぶためには目の前に見えていないデータを含め、すべての事象を考慮に入れる必要性があるということですね。

 

会社や何か組織に属している中で、オープンな文化の重要性そしてそれを構成するのは、失敗からのフィードバックを活かすことのできるシステムであるということを学ぶことができました。

 

本書で引用されていた名言で締めたいと思います。

「人の失敗から学びましょう。自分で全部経験するには、人生は短すぎる」BYエレノア・ルーズベルト

 

 

 

 

odasakukun.hatenablog.com